5%ブドウ糖250ml+オクトレオチド皮下注(100μg)3A
24時間かけて DIV
皮下注用の注射を持続静注…の処方ですね。
用法的に大丈夫なのかな〜?と思ったら、すでに病棟でミッチーが聞かれて、調べてOKを出した上での処方でした。
「添付文書上は皮下注が推奨されているが一般的な使用成績あるため可能です」と薬剤師記録に書いてくれてました。
こちらの患者さん、胆のう結石の開腹OPE後に腹痛や嘔気を訴えていて…なんだかOPE後のイレウスにプロスタルモンFを使った時を思い出します。似ているような?
気になったので適応症の違いをみてみました。
オクトレオチド(先発:サンドスタチン)
〈消化管ホルモン産生腫瘍、先端巨大症・下垂体性巨人症〉
〈進行・再発癌患者の緩和医療における消化管閉塞に伴う消化器症状〉
〈先天性高インスリン血症に伴う低血糖〉
プロスタルモンF
1.妊娠末期における陣痛誘発・陣痛促進・分娩促進
2.下記における腸管蠕動亢進
●胃腸管の手術における術後腸管麻痺の回復遷延の場合
●麻痺性イレウスにおいて他の保存的治療で効果が認められない場合
すると、おやおや?
今回の患者さんは癌ではありません。オクトレオチドでいいの?
術後なのでプロスタルモンの方が適応なのでは…?
(過去記事:プロスタルモンF注の濃度について)
カルテに「サンドスタチン使用」と書かれているので、きっと使うのはオクトレオチドで合っていると思うのですが、疑義は解消しないとモヤモヤ…ξ。
念のため、病棟のミッチーに医師への確認をお願いして、そのあとに薬を渡すことにしました。
そして外科のS先生に連絡がとれ「膵液の分泌とかも抑えたいから、オクトレオチドを使うよ」と使用理由を確認ができました。適応外使用になるので、そのこともミッチーは先生にお伝えしてくれました。
ありがとうございました!
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結局なんだったのかと、あとから追ってみたら、ドレーンからの排液が胆汁様で、術後の縫合不全が疑われる状態だったようです。
しかし腹部症状は軽減しており発熱もないため、絶食・点滴・PPI・オクトレオチド使用で保存的に経過観察…と。(結局漏れはなく、腹腔内のたまりは術後変化と考えられたようです)
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さて、それでは通常は消化器症状がどんな場合にオクトレオチドを使用するのか、今回勉強したことをまとめてみました。
( ..)φメモメモ
オクトレオチドは各種消化液の分泌を抑制し、空腸からの腸液の吸収及び回腸からの水・電解質の吸収を促進することで症状を改善し、腸管の浮腫や腫脹がとれて経口摂取の再開も期待できる。
中京病院のこちらのサイトで実際の使用方法が分かりやすく書かれています
癌患者が緩和医療の在宅で使用するため、保険薬局で交付できる。
消化器症状への保険適応は持続皮下注ですが、様々な事情で静注も可能。
ただし高カロリー輸液との配合によりオクトレオチドの残存率が低下するということが添付文書に記載されている。
(用法は皮下注なのに、高カロリー輸液との配合変化も載せてくれてる親切!つっこみどころ?)
増量と効果の増強の関係は確立されていないとか、7 日間毎を目安として投与継続の可否について慎重に検討することなどの用法用量に関連する注意もあり。
ちなみに似てるような気がしたプロスタルモンFは、消化管運動を調節するホルモンの一つ。
消化管の縦走筋・輪状筋を収縮させる作用を有し、腸管蠕動運動亢進作用があるっていうことです。
今回は期待する作用を考えると、オクトレオチドの出番だったんですね。
ちなみにこの患者さんはその後3日位で症状が軽快し、点滴を外していきたいとのことで処方が1日3回の皮下注射に変わりました。(持続皮下注射もできるのですが色々と考慮し間欠投与でよいとのこと)
その際も薬剤師は「単回皮下投与した場合の半減期は2時間未満であり分割投与だと薬効低下する可能性あります」というDIをしています。
その後順調に症状は消失し、分割皮下注にしてから4日ほどで、オクトレオチドは終了となりました。
最初はよく分かりませんでしたが、結局は、縫合不全疑いで腸内容の漏れを懸念とその消化器症状に対してオクトレオチドを使用したということだったんですね。イレウスじゃなかった。
ご回復されてよかったです。