忙しい業務中に「メロペンバンコを1gずついって!」という医師からの口頭指示がとんできて、それに対し「時間をちゃんと先生に聞いた方がいいですよ」っとペンタ君からアドバイスがとんできました。
(注:口頭指示はなるべくしない方がいいです)
「時間⁈」
「時間」
「時間…」
バンコマイシンはレッドネック症候群予防のために1g/1h以上かけることは有名ですよね。
その時間のことが頭に浮かびましたが、ペンタ君が言ったのはメロペンの投与にかける時間のことでした。今日はそれについて記録しておきます。
いつも参考にしているサンフォード
「腎障害のある成人患者への抗微生物薬の投与量」のページでは次のような投与量が示されています。
CrCl>50~90 | CrCl10~50 | CrCl<10 | |
メロペネム | 1g8時間ごと | 25~50:1g12時間ごと 10~25:0.5g12時間ごと | 0.5g24時間ごと |
一方、「抗菌薬の長時間または持続静注」のページではこのように書かれています。
推奨用量 | |
メロペネム (長時間静注) | ・CrCl≧50:2g(3時間かけて)8時間ごと ・CrCl30~49:1g(3時間かけて)8時間ごと ・CrCl10~29:1g(3時間かけて)12時間ごと |
それぞれのCrClで比較してみてください。ずいぶん違いますよね。
つまり、CrClが10以上あるならば、3時間かけて持続静注した方がより多くの抗菌薬で菌を叩くことができるというわけです。
メロペネムをいくような方はそもそも重症だと思いますので、普通に投与して「効かなかったー」では困ります(;´Д`)
PK/PD理論に基づいてMIC以上の濃度を長く保つように、工夫してなんとか効果を高めようというのは大事な心掛けだと思いました。
詳しくはサンフォード感染症治療ガイドを読み込んでください。
ペンタ君、今日も教えてくれてありがとうございました。
ちなみに、持続静注のページにバンコマイシンも載っていたので思い出したことがあります。
昔、バンコマイシンの24時間持続投与を当院でも試みたことがありました。まだ今ほど感染症の専門的な知識も普及しておらずICUや病床の環境も違っていましたが…。朧げに覚えているのは、動ける患者さんだったので24時間持続がつらいとか、主導する医師が定着しなかったか、そんな感じで当時は流行らなかったです。バンコマイシンの症例自体も少なかったしね。
今ならうまくやってる施設もあるのかなー…