薬局内勉強会で、アビーが経験した貴重な症例を共有してくれました。
膵癌でFOLFIRINOX施行後、夕方からレベル低下あり。
開眼しているが呼びかけに反応なく、痛み刺激にも反応乏しい
えぇー!こんなにレベル下がっちゃうってどうしたの!?
服用している薬(リンデロン、エチゾラム、ナルサス、エスゾピクロン他)の他に、その日はケモのためにアプレピタントも飲んでいました。なので、アプレピタントのCYP3A4阻害でベンゾジアゼピンが効きすぎて?いやいやそんな量のんでないし…と、「???」だったのですが、なんと高アンモニア血症による意識障害だったそうです。
原因は、5-FU!
11.副作用
5-FU添付文書
11.1重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.13意識障害を伴う高アンモニア血症(頻度不明)
異常なレベル低下のため脳CTとMRIを施行したが異常なく、アンモニア値282μ/dlと高値でアミノレバン開始へ。
(おそらく下図のようなフローチャートにのっとってNH3を測ったのかと思われます)
前回のFOLFIRINOX投与後にも、帰宅後にやや朦朧状態と夜間の不穏症状が観察されていたとのことで、この時にも高アンモニア血症になっていた可能性があります!
でも帰宅後に副作用でそのようになっているとは…経験がないと、想像するのは難しかったと思います。だからこそ、こういう症例報告は大事だと思います。
今回の症例の反省として、不穏に対する薬剤提案は行っていたけれども、その原因が薬剤(5-FUなど)にあることに意識が向かなかったことが挙げられていました。
リスク因子などをアビーの勉強会資料から抜粋↓
アンモニアの過剰産生と生体のアンモニアの処理能力の低下に腎機能障害・脱水・便秘・感染症・体重減少が加わることで発生すると考えられている
発生する可能性は1-3クール目の3日間のうち比較的早いうちに起こる。また同じレジメン使用時には再発の報告も。
5-FU減量、他レジメン変更し5-FU減量投与にて施行可能との報告もある。
大腸がんの場合は発症率 6-9%程度
膵癌での発症率 (見つけられず)
アビ~、ありがとうございました!
※カテゴリーについて
今回の症例は「失敗」じゃないんだけど、そっちに意識が向かなかったという反省があったようなので「失敗から学ぶ」のカテゴリーにしました。