以前に「カイトリルの公知申請」という記事を書きました。
当院でも採用されてから早1か月が過ぎ…実際に使用したのはOPE室で1件と、ICUで1件。
ICUでは心臓血管外科の先生の処方だったみたいですが、処方する前にお電話があって、薬剤師が色々と聞かれていました。「術後の吐き気に使える新しい薬はなんて名前だっけ?」から始まり、用法やなんかをお話してたようです。
そしていざ処方→調剤→看護師さんに払い出すと、今度は看護師さんから「『ゆっくりiv』って何分かければいいんですか?」と質問があったようです。
新しい薬を使う時はなんだかみんなソワソワしますね(笑)
添付文書には「緩徐に静注」しか書いてないのでちょっと困りますが、採用した時のお知らせ用紙に、30秒以上で投与と薬局長が書いてくださっていました。
公知申請の要望書を見ると海外での承認内容の記載があり、国によって異なりますが、概ね30秒~5分のようです。1mlしか入っていないし、30秒かければいいんですね。大変だったら生食50mlなどにいれて点滴してもOKです。
OPE室で使用した方も気になりましたので、麻酔科の先生にインタビューしてみました。
カイトリル、思ったよりも使わないんですね?
そもそも気持ち悪くならないように工夫してますからね。
手術の前半でデカドロンを使うとか、ドロレプタンを使うとかして吐き気を予防しています。
どんな症例で使用したのですか?
手術の後半でフェンタニルを多く使った症例で使いました。
術後に悪心の訴えがあったので使用し、その時だけでなくけっこう後まで効果が持続しましたよ。
麻酔科の先生が仰ったように、術後に悪心の訴えがあった時に使用するのがポイントです。
海外では予防・治療で使えますが、日本で使えるのは治療のみなんです。
今回のインタビューから、手術室では常に吐き気予防に気を使っていて、その上で起きてしまった時の手段がカイトリルなんだということが分かりました。そして麻酔科の先生方が優秀でカイトリルの出番が少ないということも分かりました。
あんまり在庫いらなそうだなぁ…。