アミカシン点滴静注の処方がきたけれど

提案

のりちゃんがAMK(アミカシン)の処方を前に憂鬱な顔をしていました。うーん…。

患者さんは肺炎にSBT/ABPC(スルバシリン)が効いてCRPが順調に下がって退院目前だった方。今日38.8度の熱発があり、抗生剤変更ということです。

注射の処方

AMK100mg + 生食100ml 1日2回

AMKはピーク依存で効果を発揮し、トラフが低い時間を長くすることで副作用の発現を抑えることができると言われています。なので、15mg/kg程度で1日1回投与が推奨なのです。しかし添付文書が昔々承認された用量のままの記載のため、医師への認知度が低いのです。

(他の抗菌薬と併用でシナジー効果を期待してる場合は低用量でも可かなぁという意見もあり)

のりちゃん、用法用量もさることながら抗生剤の選択もこれでよいのか疑問をもち、培養結果と当院のアンチバイオグラム結果をみて「うーん、うーん」

培養結果

・Escherichia coli(ESBL) 1+
・Staphylococcus epidermidis 1+

T/PCMZAMKMINOMEPMVCM
E.coli(ESBL)96.195.510093.5100
S.epidermidis0010085.40100
院内アンチバイオグラム

検出されている2種の菌に同時に効力をもつのはカルテに記載がある通りAMKMINOでした。
病棟担当者の意見も聞いてみると、例えばCMZ+VCMのように2種類の菌に別々の抗生剤を使用してもいいのではないかと。

なるほどなるほど。
じゃあAMKの使用法アドバイスに難色を示されたら別の手として使いましょう。

AMKにしろVCMにしろ体重で量を決めますが、測定したのが大分前なのでまず看護師さんに測定を依頼しておきました。そしていざ、内科N先生にお電話!

先生にお電話した結果…「AMKのまま用法は薬剤師のおすすめ通りで」とお返事いただけましたので15mg/kgで計算して処方変更しました。

変更後の処方

AMK800㎎ + 生食100ml 1日1回

あとはTDMの予定を入れて、効果をチェックですね。

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その後、先生が薬剤部に訪ねていらっしゃいました。
僕は『今日の治療薬』を見て処方したんだけど、あれじゃダメなんだね?
僕らはあとで処方の根拠が求められるから、何か資料もらえる?

ということで、古の添付文書を変えるには製薬メーカーの多大な努力とお金が必要でありなかなか変わらないことをお話しし(そういうのは先生もご存知でした)抗菌薬TDMの本からAMKのページをコピーしてお渡ししました。

さらに「他にも添付文書と違う使い方の薬ある?」と質問があり、ペンタ君が「CEZは添付文書上5g/日までですが、重症だと6g/日までいけますよ」と情報提供してくれてました!さすがです!

余談ですが、T/Pも選択肢にありましたが先生の中では「T/PはSBT/ABPCの量を大きくしたようなものだと思ってるからSBT/ABPCからT/Pに切り替えるのは変な話だと思ってるんだよねー」らしいです。
そう??と思いましたが、私は抗菌薬に詳しくないのでそのうち勉強したいと思いました。

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