残尿感のある前立腺肥大患者さんにアメジニウムは禁忌

疑義照会したこと

低血圧に使うアメジニウムが、残尿感のある前立腺肥大症禁忌だって、ご存知ですか?

本日の処方

起立性低血圧 BP75/54
アメジニウム(10)2錠分2 開始

調剤前に、患者さんのカルテを確認すると次のような状態でした。

  • 前立腺肥大症でシロドシンを内服していたが、起立性低血圧のため中止
  • 排尿困難、頻尿あり→残尿チェックする

新人のayaちゃんが、アメジニウムの添付文書を見て「あ、この患者さん禁忌です」と気がつきました。good jobです⭐︎

アメジニウム禁忌(添付文書より)

(次の患者には投与しないこと)
1.高血圧症の患者[高血圧症を悪化させる。]
2.甲状腺機能亢進症の患者[甲状腺機能亢進症を悪化させる。]
3.褐色細胞腫のある患者[急激な昇圧発作を起こすおそれがある。]
4.*閉塞隅角緑内障の患者[急激な眼圧上昇をきたすおそれがある。]
5.残尿を伴う前立腺肥大のある患者[尿閉をきたすおそれがある。]

新人ayaちゃんは、先輩に相談して処方医に疑義照会をし、その結果ミドドリンに変更となりました。
残尿量はその時点ではまだ結果が出ていなかったようですが、医師と相談の上でそうしたようです。
(翌日のカルテに残尿230ml、夜間尿は5回と記載あり)
ミドドリンも「注意」の欄に前立腺肥大の記載があるので一応注意は必要ですが、アメジニウムよりは危険性が低いかと思います。

*******

さて、なぜ残尿を伴う前立腺肥大症にアメジニウムが禁忌なのか、分かりますか?

まず作用機序としては「神経終末においてノルアドレナリンの再取り込み抑制とともに、ノルアドレナリンの不活性化を抑制し、交感神経機能を亢進させる」です。交感神経の亢進!

先発品のリズミックのインタビューフォームに、きちんと解説が書いてありました↓

(リズミック禁忌の解説から抜粋)
(5)本剤の持つα刺激作用、β刺激作用によりそれぞれ尿道括約筋の収縮、排尿筋の弛緩が起こり、尿の出がさらに悪くなるおそれがある。

へぇ~…。へぇ~…。

アメジニウムが処方されるのは透析時の昇圧目的が多かったので、あまり気にしたことがありませんでした。

この患者さんの場合はミドドリンでは効果が得られず、フロリネフが追加されてミドドリンは減量中止となっていきました。また、もともと服用していたアトモキセチンを減量した影響もあってか血圧は上昇傾向となっていったようです。

ちなみに、フロリネフの起立性低血圧への使用は適応外となりますが、時々見かけます。
コチラの「くすりの勉強」に分かりやすくまとめられていました。日ごろの疑問がよくとても勉強になるブログです♪

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