透析患者さんのレムデシビル投与

医師から聞かれたこと

透析をされている方にレムデシビルを使おうと思いますが、投与量はどのようにしたらいいですか?

レムデシビル(ベクルリー点滴静注用100㎎)

当院は透析もしておりますので、このような問い合わせもあります。
慣れていないと、その都度調べるのも大変なので…とりあえず病棟薬剤師たちのリアルDIを記録しておきたいと思います。
どなたかの参考になるといいな。

症例1
内科N医師への回答

透析患者へのレムデシビルに関してDI
添付文書、IF上は情報なし
基礎データとして尿中総排泄は70%強で、主要活性代謝物も尿中から排泄されるよう。
透析にて主要活性代謝物は半分程度除去される。

海外での報告では透析前(4時間前)に100㎎投与する方法が提唱されており、薬効も得られているようだ。

上記を踏襲し本日と明後日の透析前に投与とした。
しかし本日はそのタイミングを逸したので透析後投与とする。恐らくやや血中濃度が高くなるがやむを得ない。

↓↓

後日、追加で質問「きっかり4時間前でなく、もっと前に投与可能ですか?」への回答

レムデシビルはおよそ4時間で体内分配されるため4時間前と指定させていただいている。
病棟業務に合わせて投与時間変更可能とお伝え、処方コメントは「4時間以上前」へ変更しました。

こちらの患者さんは月水金の午後に透析をされていた方でした。初日は水曜日の午後にDIしているので、まさに透析中に医師が質問してきた状況だったみたいです。
早く投与開始した方がいいので、確かにその日は透析後投与でやむを得ないですね。
それで、数日経って看護師さんから時間について要望があったのでしょうね。再度医師から薬剤師に相談がきたので「4時間以上前なら大丈夫ですよ~」とお話した、という流れでした。

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症例2
内科H医師への回答

透析患者へのレムデシビルに関してDI
添付文書、IF上は情報なし
基礎データとして未変化体のAUCが3倍、活性代謝物のAUCが6倍まで延長。
透析で代謝物は50%ほど透析される。

海外の報告では
透析前(4時間前)に100㎎を投与、最大6回まで投与という方法が提唱されており、薬効も得られているよう。厚生省の手引きではこちらが紹介されている。

他にも
活性代謝物のAUC6倍でも臨床試験上問題とならず蓄積性も無いため、通常通りに投与し透析日は透析後に投与するという報告もある。

手引き通り木曜・金曜の透析4時間前に100㎎投与とし、次回透析まで間隔が延びる土日に関しては状態を見て場合によっては土曜に透析関係なく投与する予定とする。

こちらの患者さんは透析日がイレギュラーになっていたので頭を悩ませたようですね。
医師と検討して間隔を空けないよう工夫しています。

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職場で愛用している白鷺病院著「透析患者に対する投薬ガイドライン」にはこのように載っていました。→コチラ
透析までいっちゃってると減量の必要はないけれど、eGFRやCCrで30未満の方は添加物蓄積により腎機能障害が悪化するおそれがあるので投与を避けるとなっています。

レムデシビルの投与に関してきちんと知りたい方は厚生労働省の「新型コロナウイルス感染症診療の手引き」(第7.2版)を参照してください。↓は一部抜粋です。

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