アバスチンの血管外漏出

看護師から聞かれたこと

外来の看護師さんから「ケモに詳しい人いる?」と聞かれました。
ちょうどお昼時で担当者がいなかったので、とりあえず私がお話を伺いました。

看護師
看護師

アバスチンが血管外に漏れたかもしれなくて…。
抜針前に逆血を確認したから、ちゃんと血管に入っていたかもしれないんですが。

詳しく伺うと

・患者様の希望で麻痺側に点滴をした
・麻痺側とはいえ痛みを感じることはでき、今は痛くない
・発赤や腫脹はない
・点滴後に浮腫がでているので漏れたかと心配になった
・帰宅後に異変を感じたらどうしたら良いか
ということでした。

早速「アバスチン 血管外漏出」で調べるとメーカーHPに載っていました。
先発の中外製薬もBSの第一三共もほぼ同じ内容です。

ベバシズマブBS「第一三共」の血管外漏出について、特異的な対処法はありません。
参考ですが、先行バイオ医薬品(アバスチン)は、血管外漏出の組織障害性に基づく分類において非壊死性薬剤※に該当します。
※非壊死性薬剤(ノンビシカント薬剤):薬剤が漏れ出たときに、組織が障害を受けたり破壊されたりすることはない(可能性は非常に低い)といわれている薬剤です。

第一三共HPより

よかった。壊死性ではないので大事にはならなそうです。

非壊死性薬剤※1であり、組織障害の可能性は低いです。
帰宅後に発赤や腫脹が発現した場合には、冷やして※2受診をお願いします。
必要に応じて軟膏剤(抗炎症剤、ステロイド剤など)の一般的な対処になります。

看護師さんもホッとした様子でした。

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※1 抗がん剤は組織障害の強さによって下記のように分類されます。

●起壊死性抗がん剤(ビシカント薬剤:vesicant drugs)
血管外へ漏れ出た場合に、水疱や潰瘍をもたらす可能性がある薬剤。
組織障害や組織壊死のような重度な副作用が生じる可能性がある。
 例)パクリタキセル、ドセタキセル、エピルビシン etc…

●炎症性抗がん剤(イリタント薬剤:irritant drugs)
注射部位やその周囲、血管に沿って痛みや炎症が生じる可能性がある薬剤。
多量の薬剤が血管外に漏出した場合には潰瘍をもたらす可能性がある。
 例)ゲムシタビン、フルオロウラシル、オキサリプラチン、シスプラチン、カルボプラチン、ドセタキセル、イリノテカン etc…

●非壊死性(非炎症性)抗がん剤(ノンビシカント薬剤:non-vesicant drugs)
薬剤が漏れ出たときに、組織が障害を受けたり破壊されたりすることはない(可能性は非常に低い)といわれる薬剤。
 例)トラスツヅマブ、アバスチンなどの分子標的薬、他 etc…

↑注)当院でよく使われる抗がん剤をピックアップしています。

キッセイ薬品「抗がん剤の血管外漏出の予防と対応ガイド」
沢井オンコロジー
上記のサイトに一覧表が載っています。
患部の写真や図説も分かりやすいですし治療対処法も載っていますので、一読しておくことをお勧めします。

※2 冷やさない方がよい抗がん剤もあります。
ビンアルカロイド系…患部を温めることで薬剤が拡散し炎症が軽減したという動物実験が根拠
オキサリプラチン…末梢神経障害を誘発
エトポシド…潰瘍形成を悪化させる

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